2017年6月27日火曜日

寺田寅彦『どんぐり』

寺田寅彦『どんぐり』を作りました。

 身重の妻が肺を患い療養のため故郷へ帰ることになりました。出発の日が近づく頃、おだやかな暖かい日を選んで寺田は妻を植物園に誘います。妻は地面に落ちていたどんぐりを拾い集めて子供のように喜んでいました………。

 物理学者の寺田寅彦は漱石と親交があり、夏目家の文章会にも参加し、また俳句や油絵にも才能を示した人物です。漱石は知人への手紙のなかで「寅彦の団栗(どんぐり)はちょっと面白く出来て居る」と記しています。作品は随筆として明治38年4月に「ホトトギス」に発表されますが、小説家が筆にまかせて書いた随筆とは違うしみじみとした余韻の残る小品になっています。




※2色印刷は手間がかかります。でもなんかこれでないと駄目な気がして。